熊本県 八代市 泉町(旧泉村) 五家荘
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雑文録

2019.04.02

半年ぶりに五家荘の山に行った。正確には家内の運転で連れて行ってもらったのだが。三角町内しか運転できない者が、いつの間にか、熊本市内の病院まで右折せずに運転できる技術を身に着け、いつの間にか林道の落石を際どくよけながら、ハンドルにかじりつきながらも、五家荘に辿り着けるようになるまで進歩してくれたのだ。これはもう感謝するしかない。(しかし、二本杉の峠はまだ、越えられぬ)

ちょうど山桜の開花もちらほら、今週末~来週頃が一番見頃かもしれない。運良く某所でカタクリの開花も見ることが出来た。冷たい風が吹く林の枯れ葉の中から、恥ずかしそうにうつむきながらピンク色の花びらを開く春の妖精。もう少し日光が当たれば顔も陽に向かい、かすかな妖精の微笑みが見ることができたのだが。また来年会いましょう。

そうして念願の白鳥山へ。去年は5月にシャクヤクの群生を見ることができたが、開花はまだまだ早い。バイケイソウの緑色の葉がちらほら伸びて、枯れた谷を色づけている。今回は予行練習としておこう。登山口で標高1,000メートルは超え、薄着で来たので相当寒い。(去年は尾根の木の根には雪が残っていて酷く寒い目に会ったのに、山の厳しさをすっかり忘れていた)登山口から、ちょっと山道を歩き、すぐに引き返す。足元を見ると苔の間にネコノメソウが咲いていた。はいつくばりカメラを構えると、苔の緑も鮮やかに見え、じわじわと足元から森にも春が来ているのが分かる。

 

枯れた林の奥で美しい鳥の鳴き声が響く。「あの声は今年生まれたばかりの小鳥の声だ」というと、家内が「どうしてそういうことが分かる?」と聞く。何の根拠もないけど僕にはわかる。うちの家の裏山でも夜明け前の朝一番に、野鳥が鳴くのだ。小鳥たちだって春がくるのが嬉しいのだ。生まれたばかりの春。椿や桜の花の美味しい蜜を吸い、喉を潤し、そしてだんだん歌声が上手くなる。

退院後、毎朝僕は自宅2階のベットでその声を聞いていた。すると我が家の猫たちも騒ぎ出し、窓際に飛び乗り、ガラス越しにその鳥たちの姿を追う。カーテンが黒い影で揺れる。

猫にも色々な模様の猫がいるように、「ネコノメソウ」にもいろいろな種類、柄があり、帰宅して花の図鑑で調べていると楽しい。

これからの五家荘の森の山歩きが待ち遠しい。峰越から烏帽子岳又は白鳥山へ。石楠花越から山犬切、七遍巡りへ。ハンドルをしがみつかれながらも愛車、水色のイグニス(スズキ製)号はこれからも森の奥へと進むのだ。

4月28日、平成最後の山。

ダムに消えた村

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