熊本県 八代市 泉町(旧泉村) 五家荘
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雑文録

2019.06.23

山行

6月はどこにも行けなかった。山の先輩Oさん、Mさんのフェイスブックの登山情報はうらやましい限りだ。(お二人の日常の半分は山の事!)特に、以前から撮影してみたかった、「ギンリョウソウ」の花の写真を見ると、くやしくて仕方ない。

ギンリョウソウ(銀竜草)とは別名「ユウレイタケ」ともいわれる花で、葉緑体を持たず、杉林の枯れ葉、落ち葉から養分を吸収する腐生植物。花は花径の先に一つだけ咲く。図鑑の写真を見ると、枯草のすきまから、半透明の白い茎が伸び、背中を丸めてうなだれている。下から覗くと一つの眼が開く!(まさにユウレイタケ!)僕は森でこの子たちにぜひ会いたいのだ!自分のカメラに収めたいのだ!これからは「ギンチャン」と呼びたい。

腐生植物でもう一種、有名なのはショウキラン(鍾馗蘭)この子たちはギンリョウソウとは大違い、変な目立ちたがり屋。同じく森の枯れ葉のスキマからニョキニョキ顔を出して、ピンク色のケバケバシイ化粧と派手な作りの顔(花)で、四方八方美人。束になって咲いているのを見ると、静かな森の中で、騒がしい歌を歌っているようにも見える。一度、ギンリョウソウとペアで見たいものだ。これからは「ショウチャン」と呼びたい。

通常の樹や花は夏場の太陽の光を奪い合い、少しでも栄養分を貯め、植物界の激しい生存競争の中を生き延びようとしている。そんな中で、ギンちゃん、ショウキちゃんのなんと不思議な生き方よ。他社と競争しないのんびり完璧平和主義。

※腐生植物つまり、寄生植物。光合成を行わないというのは、競争から完全に離脱した生き方。子孫はどうして増やすかというと、種子が飛び交うわけでなく、バッタの仲間のカマドウマが運んでくれるという研究があり、調べれば調べるほど、面白い!大学や高校の生物部でもでもネットで詳しい研究発表がされている。うす暗い森の中で、華やかな花たちの研究とは別に、ギンチャンの丸まった背中に話しかけ、大の大人どもがうずくまり、ヒソヒソ話ながら微笑みあう、姿はなんとも微笑ましい!

ギンリョウソウの開花の時期はもう終わり。これからはショウキランの開花の時期となる。花が咲くのはいつもの、あの山のあのあたりかと推理するのも楽しい。もちろん来年10月までは運転禁止の身。自宅から2時間、家内に運転をお願いするしかない。崖に落ちぬよう、五家荘の林道を恐ろしい形相で、ハンドルにしがみついて運転する姿を見るのは誠に申しわけないのだが。

春に受けた町の健康診断、しぶしぶ出した1個の検便で「アタリ!」がでた。返送された封筒には、大腸がん検診、要検査との文字。陽性というのも不気味な文字だ。(僕の性格は陰性なのに)検便だけで陽性の判定がでる、今の検査技術は大したものだ。もちろんガンと決まったわけではない。ガンなのかどうかを調べる内視鏡検査を受ける必要があるとのことなのだ。4日に検査を受け、ベットに横たわり、モニターを眺めながら検査を見守る。僕の大腸内をうねうね、うごきまわる蛇のような検査機器がエノキ茸のようなポリープを発見、さっと切除。次は明太子のように横たわるポリープ?発見、新人の医師がベテラン先生の指示でようやく切除。検査後は1週間から2週間は激しい運動や旅行は禁止とのこと。切除した個所から出血する可能性があるそうだ。つまり、6月は登山も山歩きも控えなければならなかった。その後の細胞検査では、ガンではないものの、びらん(ただれた)個所が多いのでまた12月に内視鏡の再検査となった。

お腹の中では銀色の内視鏡がうごめき、頭の中では「ギンちゃん」が銀色ランプを先につけ、怪しい箇所ではポッと灯りが点り、僕の脳内を明るく照らし出す一日。

ギンリョウソウよ、来年きっと会いましょう!

(写真はショウキランこと、ショウチャン)

それもよし。

山猫倶楽部

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