熊本県 八代市 泉町(旧泉村) 五家荘
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雑文録

2025.05.20

今年の春は事務所の移転(熊本市内の事務所をたたみ、実家のある三角町に移転し事業を再再開)したり、もともと猫が寄る我が家に、新入りの野良猫親子が転がり込み(とうとう、家で飼育する猫の数が9匹になった)、ただでさえ回転の悪い頭がオーバーフローし、なかなか五家荘の山まで足が延ばせなくなってしまった。

と、言いながらも五家荘の地域プロダクトからの情報で4月30日に久連子で久連子鳥の品評会と久連子踊りの披露があるとの事、久連子踊りはだいぶ前に緒方家の前での踊りを見たのが最後だったので、頑張って家人に運転をお願いし、久連子までたどり着くことができた。前回の雑文録では金色の花、福寿草をテーマに文章を書いたが今度は春の陽気がむんむんする中で満開の石楠花の写真を撮った。

山野草は各自個性的で、谷の岩の間にひっそり隠れていたり、廃道のわきの草むらに咲いている花が多いが、石楠花は桃色や白、深紅の大きな花びらを開き堂々と自己主張している。ここまで正面からカメラ向かう花には気合で負けてしまう。あまりの美人さに我ながらとても恥ずかしい。

朝、開花したばかり、露にしっとり濡れた大きな花びら。知らないうちに薄桃色の世界に誘いこまれ、いつのまにか花びらの渦巻く世界の中心に吸い込まれていく。僕は美人を前に、何枚撮っても何枚撮っても、似たような画像しか撮れずに疲れてしまった。花そのものの世界を撮るのは難しい。

しばし休憩・・・改めてファインダーをのぞくと、その薄桃色の花びらの淵を名も知らない蜘蛛が細い足を立てこっそり、こっそり横切って行く。彼は待ち構えているのだ、虫たちが花に酔いしれ、蜜の香りに誘われ、行き場をなくすことを。体中、甘い蜜まみれ、花粉の粉で息をすることもできない、夢見心地の虫たちが桃色の柔らかい花びらの上で磔になることを。

しばらくして、死者を弔う久連子念仏踊りの舞がはじまった。鉦と太鼓の独特のリズムが谷間に響く。どんどん、かんかん。

 

はるらんまん、はるらんまん

黄金の風景

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