熊本県 八代市 泉町(旧泉村) 五家荘
メニュー
雑文録

2017.06.25

山行

6月18日に国見岳に登った。

オオヤマレンゲ(大山蓮華)が咲き始めたという情報を得たのだ。五家荘の山の先輩O氏のフェイスブックからの情報だ。O氏は毎週1回は五家荘に登っている猛者で、氏の情報を参考にすることで最近の僕の山行きにもロスがなくなった。五家荘の山行の達人ではもう1人M氏もいて、五家荘の山好きでこの2人を知らぬものはいない。

2人は広大な五家荘の山々を2日がかりですべて縦走し尽くすという、その名も「五家荘大縦走」という企画を毎年春先に行っており、その行程は凄まじいものがある。この企画の情報も僕はフェイスブックで事前に得ており、2日連続で朝5時に行動開始、夕方5時ごろに宿に着くという内容に、寿命を縮めたくない僕は、当然不参加とした。当日の状況も逐次フェイスブックに公開されており、参加者およそ10数名、その半分は(オヤジどもの参加する理由の一つか)なんと女性だった。みんなの元気のよいこと。急登ばかりなのに、全員笑顔なのには驚いた。僕が参加しておれば初日の午前中で脱落、参加者の笑顔も失笑、苦笑に変わっていたろう。足手まといの僕の体はどこかの窪みに埋められ落ち葉でカモフラージュされていたろうな(冬虫夏草の栄養源となる)。

まぁいい、僕はとにかく写真が目的であり、マイペース、基本は単独行でぼちぼち行くのが極私的なのだ。で、そのオオヤマレンゲだが、去年も挑戦したが、すでにほとんど落下していて跡形もなかった。O氏によれば今年はまだ咲き始めとのことだったが、山頂でたまたま知り合った若い女性を、オオヤマレンゲの花の茂み(何をするつもりだった?)に案内したというコメントと画像がある。つまり間違いなく一輪は咲いているのだ。その美しい姿を今年こそはなんとかカメラに収めたい僕は、前日の夜、興奮してか何故か眠りにつけず、まさに睡眠時間4時間、筋肉コチコチ、意識もうろうの状態で、国見岳登山をスタートしたのだった。

杉の植林地のいきなりの急登、急登。道は迷うことはない、ひたすら真っすぐ尾根を辿る。1時間後、植生が変わり若葉が広がる自然林の森となる頃、ようやく起伏も穏やかになるが、それでも登りの連続があと2時間、ようやく山頂に辿り着いた。去年もそうだったが頂上には雌鹿の先客が居て、僕の動きをじっと監視している。晴天下、1,739メートルの頂上からの景色は素晴らしい。気が付けば鹿の姿はなく、彼女の甲高い警告音だけが谷に木霊している。

僕の体はすでに硬化したゴムのようになっていて、ささいな小石に足元はつまずき、よろめきながらもミヤマキリシマやサラサドウダンの鮮やかな姿を写真に収める。バイケイソウの花々もふわふわ、柔らかくて美しい。バイケイソウは毒草で増殖を続け、あちこちで群落が見られる。毒草だろうが、なんだろうが綺麗なものは綺麗なのだが。

さて、もう時刻も午後2時を過ぎ、帰路に着きたいものだが、一番の目的のオオヤマレンゲの花の姿が見当たらない。つぼみの姿も見えない。O氏は一体どこで見つけたのか。山頂から北へ山道を降り、もう時間切れで引き返そうと、あきらめかけて茂みの中を振り向いた瞬間、一輪のオオヤマレンゲの花が目に飛び込んできた。

たった一輪、見事に花開いたオオヤマレンゲ。まさに山の貴婦人。僕は何度もシャッターを切り、その姿を写真に収めた。純白の花弁の中、僕を見つめる大きな瞳。その瞳は見る者に、何か魔法をかけているようも思える。

梅雨の時期、開花期間は10日前後で、花の寿命は4,5日程度。会いたくても会えない夏の花の一つであり、僕は本当に運が良かったのだ。別名、天女花とも言うそうだ。

帰宅後、あらためて画像を眺めていると、この日は美しい花たちにたくさん出会えた一日だった。初夏の山頂は天然の花壇のようで、あちこちに人を酔わす花々が咲いているのだ。鹿も貴婦人の芳香に酔いしれていたのかもしれない。

雨の日はしょうがない。

ふと、空を見上げると新緑の渦。

分類
新着順
過去記事一覧
  1. ホーム
  2. 雑文録
  3. ギンちゃんのこと